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学会誌「品質」
JSQCニューズ
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JSQCニューズ 1998年10月 No.207

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巻頭言「第4回品質機能展開国際シンポジウム ISQFD'98」

私の提言「TQM宣言に想う」

我が社の最新技術「リアルタイム・マーケティング」


■ 巻頭言  第4回品質機能展開国際シンポジウム ISQFD'98

山梨大学工学部 助教授 渡辺 喜道
はじめに
第4回品質機能展開国際シンポジウム(The 4th International Symposium on Quality Function Deployment)が8月3日から3日間,オーストラリアのシドニーで開催された.開催期間中は,時折小雨がぱらついたが,真冬にもかかわらず暖く,概ね天候には恵まれた.しかし,シドニー市内の水道水に微生物が混入し,生水は使用できなかった.また,2000年開催予定のオリンピックのためか,市内は工事中のところが多かった.

シンポジウムはWorld Innovation and Strategy Conference 1998と合同で開催された.論文の著者は18ヶ国に及び出席者数は約250人(日本人参加者は13人)であった.

レセプション
開催前夜,オペラハウスでレセプションが開催された.会場はオペラ劇場にあるシドニー湾に面したホールで,出席者は約200人であった.レセプションでは,WISC98組織委員会委員長のRobert Hunt氏とIntegral Energy社のAlex Walker氏から歓迎の挨拶があった.多くの参加者は弦楽器の生演奏をバックに,品質機能展開(QFD)に関連する議論を交わしたり記念撮影を行ったりした.
シンポジウム
シンポジウムは4つの基調講演セッションと4会場に分かれ並列に行われた6つのテクニカルセッションから構成されていた.初日には2つの基調講演セッションと2つのテクニカルセッション,2日目には1つの基調講演セッションと3つのテクニカルセッション最終日には1つの基調講演セッションと1つのテクニカルセッションがそれぞれ設けられていた.

シンポジウムは歓迎の挨拶(Robert Hunt氏),革新(Geoffrey Nicholson氏),品質の家を越えて(Glenn Mazur氏)と題した3つの基調講演から始まった.それに引続き,QFDプロダクトの応用,教育革新,組織創造と学習,中小企業と題したテクニカルセッションが開かれた.

初日の午後の前半は,商業化の最適条件生成(Tom Forgan氏),研究開発の革新と商業化(Don Anderson氏),QFDによるQS9000コンプライアンス保証(赤尾洋二氏)と題した3つの基調講演があった.後半は,QFDソフトウェア,新しい生産開発,ビジネスプロセスの再工学技術/プロセス革新,革新方針と中小企業のテクニカルセッションが開かれた.

初日の夕方から,コンベンションセンターにおいて,カンファレンスディナーがあった.ニューサウスウェールズ州の革新議会議長Gus Guthrie氏の挨拶があり,その後赤尾賞の授賞式があった.今年度の受賞者はBergman・ Bo氏(リンシェーピン大学),大藤正氏(玉川大学),Zultner・ E・ Richard氏(ZULTNER & COMPANY),Mazur・ H・ Glenn氏(ミシガン大学)であった.

2日目は,QFD技術,TRIZ/TIPS,方策発展と展開,技術方策と題したテクニカルセッションから始まった.続いて,革新の先導力(Bo Bergman氏),鋭敏企業の開発(John Bessant氏),心の革新(Alex Walker氏),外部ベンチマークによる研究開発プロセスの改善(Hugh Bradlow氏)の4つの基調講演があった.

午後の前半はQFDサービスの応用,革新ネットワーク,方策発展と展開,並列エンジニアリング/JIT/鋭敏製造,後半はQFD理論,教育改革,設計,構築と題したテクニカルセッションが開かれた.

最終日は,QFD理論,生産発展,知識管理と組織文化,性能尺度/顧客満足と題したテクニカルセッションから始まった.それに引続き,環境管理システムとQFD(吉澤正氏),マルチ会社ビジネスの革新(Vince O'Rourke氏),オーストラリアから国際市場への革新(Keith Daniel氏)の3つの基調講演があった.

おわりに

今回の品質機能展開国際シンポジウムは,基礎的研究から事例研究までの多岐に渡った多くの興味深い論文発表があった.しかし,一部のセッションでは聴衆者が少なく,質問もほとんどなかったことが残念であった.また,重要な基礎的研究や新しい技術に関連する研究が少ないように感じた.来年のシンポジウムはブラジルのサンパウロで開かれる予定である.

■ 私の提言  TQM宣言に想う

JUKI(株) 工業用ミシン事業部 企画総括部次長 光 藤 義 郎
昨今,かのTQM宣言を中心に多くの議論が湧き起こっている. TQM宣言の趣旨は,世に役立つTQMであり続けるため環境変化に応じて変・え・る・べ・き・も・のは変えようと理解しているが,これは環境変化をどう捉え,従来のTQCをどう見るかによって変わってしまうため,その見方の違いが議論紛糾の素地となっていく.

さて,TQMも一つの商品と見ればTQMの改革はTQCという旧商品をTQMという新商品に置換える活動と言える. 置換え型の商品企画では,顧客要求多様化の時代,あれもこれも取り込んだ全方位型の化け物商品にしないため,お客は誰か/お客の要求・期待は何か/不満や魅力は何か/企画意図は既存顧客を逃さないことか新規顧客も取り込むことか等,要はマーケットを正しくセグメントすることが重要だとされている. ところがTQMの全体像はむしろ顧客を限定しない全方位型の商品に近く,それ故に企業の実態・ニーズに合う合わないといった妙な議論を生んでいく. しかし,TQMという商品は一般の置換え商品と異なり本質的には一般の置換え商品と異なり本質的にはコンセプトアウト(市場提案型)の商品だから必然的に全方位型にならざるを得ず,ここに企画する側と買う側とで意識のギャップが生まれる. だからこそTQM改革のポイントはこのギャップをどうクリアーするか,つまり,元々全方位型商品であるTQMを個々の企業ニーズに適したものにどうアプライしていくかに掛っている. そしてそのアプリケーションがTQMの導入・推進という世界であり,それは各企業が自らの責任でクリアーすべきもので,決して上から与えられるものではない. TQMはそれをアプライする側の意志とソフトが付加されて始めて商品としての機能を発揮する. これが冒頭で述べた変・え・る・べ・き・も・のの見方が人によって異なるということとリンクする. 漠とした全体像からそれを自社で使える商品に仕上げていくのは個々の企業の経営者・推進者の役割であり,そういう観点でものを見ていかないと判断を誤る. 今後のTQM発展に対して当学会が果たすべき役割はこのアプリケーションの仕方や方法論を産学一体となって開発していくことと認識している.

 

■ わが社の最新技術  リアルタイム・マーケティング

(株)インテック・システム研究所 江口 義実
はじめに

昨今話題になっている米国の「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞」(以下「MB賞」)から見受けられるように,「品質」の焦点は「製品・サービス」から「戦略」へとシフトしている.これは,単にモノ作りの側面だけでなく,経営全体の質を問い,さらに,組織の内部だけに留まらず,外部の顧客満足度にも広く着眼する企業のトータルな「品質」,すなわち「経営品質」が問われていることを示している.

さて,今回ご紹介する「リアルタイム・マーケティング」は,米国カリフォルニア州にあるハイテク経営コンサルティングファーム,「マッケンナ・グループ」の会長であるレジス・マッケンナ氏が提唱するマーケティング・メソドロジーであるが,本稿では「経営品質」という点も踏まえて,その紹介をさせていただく.

なお,潟Cンテックは本年7月1日に「マッケンナ・グループ」と業務提携を結び,現在,当研究所も参画して,「リアルタイム・マーケティング」の共同事業展開を図っている.

「リアルタイム・マーケティング」とは?

「リアルタイム・マーケティング」は「経営」と「情報技術」を融合し,顧客中心のビジネス・モデルを実現する新しいマーケティングパラダイムである.その特徴は,コールセンターやインターネットなどの情報媒体を顧客チャネルとして管理する「リアルタイム・マーケティング・システム」(当研究所で研究開発)を用いて顧客との「仮説検証型」の「双方向な対話」を実現することにある.この情報システムは,「双方向な対話」を,「各チャネルで様々な顧客セグメント単位に,異なるメッセージ,アンケート,サービス,プロモーション,キャンペーンなどを用意し,それらに対する顧客の反応・ニーズ・不満などを,個別に顧客データベースへリアルタイムに取り込み,それを開発・生産・営業といったあらゆる企業活動でリアルタイムに活用する」という形で実現し,マーケティングにおける「仮説検証型」のサイクルを実行できる.これにより,顧客の要求や期待をリアルタイムに把握することで,顧客への次の施策や対応,さらにはフォローアップを図ることが短時間に実現できる.つまり,企業は顧客との「仮説検証型」の「双方向な対話」を行うことで,恒常的に高い顧客価値を提供する組織へ発展し,かつ高レベルな「経営品質」を達成するのである(図参照).
「リアルタイム・マーケティング」で実現する経営品質

「リアルタイム・マーケティング」を導入した企業は,以下のような「経営品質が実現される.
  1. 顧客ニーズを把握する仕組み作り
  2. 顧客ニーズに促した商品・サービスの開発
  3. 潜在的な顧客ニーズの発掘
  4. 全企業活動上での顧客ニーズの共有
  5. 顧客満足を把握する仕組み作り
  6. 顧客ロイヤリティ向上の仕組み作り
すなわち,「リアルタイム・マーケティング」を導入した企業は,真の「顧客主導」な組織となり,かつ顧客との親密な関係が今までに無い新たな「企業ブランド」となる.この「企業ブランド」はまさに「経営品質」そのものであり,時代が今必要とするソリューションなのである.
まとめ

「リアルタイム・マーケティング」で実現する「経営品質」は顧客と協創する「ブランド」である.換言すれば,顧客を無視した「経営品質」は存在しないということである.重要な点は,今までのモノ作りの視点での「品質」は今後「顧(個)客」という視点で捉える必要があり,それらの視点や視線を結ぶことにより「経営」という視野(面)が成り立つことにある.その担い手が「リアルタイム・マーケティング」なのである.

今後,インテック・グループにおいては「リアルタイム・マーケティング」を核とした,「経営」と「情報技術」の融合,すなわち「リアルタイム経営」についての研究やその事業展開を「経営品質」という視野を持って進めていきたい.


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