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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2018年11月 No.368

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■トピックス: JSQC規格講習会について事業・広報委員長の立場から見た講習会の狙いや、今後の展開
■私の提言:104と102間をつなぐ第3者評価制度の開発
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トピックス
JSQC規格講習会について事業・広報委員長の立場から見た講習会の狙いや、今後の展開

第47年度事業・広報委員長 斉藤 忠

 当学会は第44年度にQを重視する産官学の緩やかなNetworkとして“Japanese Association for Quality(JAQ:仮称)”を創設していく提言を行いました。当時、当学会(JSQC)とQを重視する機関である、日本科学技術連盟(JUSE)と日本規格協会(JSA)の3団体が、3者調整委員会も設け、Qのあるべき実践・必要な研究・標準化・教育啓発に意の有る全ての企業・教育機関・政策部局・学会・有志がJAQに参加することを期待したNetworkです。現在はこの3者以外のQを重視する機関も加わり、Networkを広めています。  
その後、当学会の第45〜46年度には、地域(支部)と部会(研究会)の色合いを強めた指針を掲げました。  
そして、今期47年度はその指針を受けて、新たな体制がスタートしています。 
 前置きが長くなりましたが、当学会の変革期において今年度の事業・広報委員会としても、この方針の上で、如何に学会員の皆さまのニーズにお応えできるかを日夜模索しています。  
従来の当学会の事業としては、学会なので当然ながら(1)研究・発表会(現在5つの研究部会、6つの研究会が活動しています)、その他には、(2)事業所見学会(学会の研究も机上の論理では意味がなく、3現主義の観点で現場・現物・現実を肌で感じて研究に活かして頂く機会)、(3)講演会やシンポジウム(品質管理を研究する上で、知っておく必要のある、先端な内容を学会員の皆さまに紹介する機会)、(4)クオリティトーク、サロン(講演会やシンポジウムでは中々真意を聞き出せない学会員の皆さまが研究者にフランクに直接質問ができる場の提供)、(5)ワークショップ、フォーラム(当学会単独でなく、関係する機関とも協力して行う)、(6)講習会(現在、学会では7つの規格(品質管理を進めていくための標準)が発行されており、主にTQMに関するこれまで標準化されてこなかった事項を規格化し、これらを定期的に普及している)があります。  
特にこの中で学会の特徴的事業が、学会の標準委員会と共同で進めている(6)の学会独自の規格の講習会です。学会規格は学会内の標準委員会が製作したアウトプットですが、従来作り手の標準委員会では発刊後に学会員に講習会を開催し、規格を購入して使って頂くまででした。(購入するには、学会のWebサイトまたはJSAのWebサイトから購入できます)  
しかし、規格も読めばわかるとは限りません。一度の講習会を開催して、開催日に聞ける学会員もわずかですし、講習を一度受ければ全てを理解できるものとも限りません。また講習会はこれまで、学会本部のある東京のみの開催でした。  
上記でも説明しましたが、過去、関東、中部、関西といった支部を編成している地域に偏った学会活動を、改めて、新たな学会として日本縦断の地区制に展開を図っている中、(2)の事業所見学会、(3)の講演会、シンポジウムなどは、各地区で設立しているQを重視する機関(JUSEやJSA等)でも行っている事業と重複することも時にありますが、(6)は学会発行物の講習会なので、どこも出来ない事業です。  
そのことからも第47年度では、東日本支部として東京以外に仙台で、西日本支部として広島と博多で、また、これまで既存の支部でも開催してこなかった規格講習会を関西支部の大阪で講演会として形式を変えて実施しました。  
これまで規格講習会は東京一極集中開催で各地からわざわざ東京まで集まって頂き、集客数はそれなりの人数が集まるのとは対称に、今年行った初開催地区では人数は東京開催ほどの参加者では集まりませんでしたが、想定外効果として、アットホームな開催となり、地区によっては、参加者全員から質問をいただき、その質問に講師から細かく対応した事例もつくれ、地方開催ならではのメリットを見いだせています。学会員の所属都道府県分布は、やはり既存の支部が存在するところに集中している傾向です。素直に、従来足りなかった地区の学会員へサービスの向上に少しでも上記(1)〜(6)の活動が寄与できると幸いです。  
今後も継続して全国での開催を予定しております。最寄りの開催時には是非ご参加お願いいたします。


私の提言
104と102間をつなぐ第3者評価制度の開発

慶應義塾大学理工学部管理工学科 教授 山田 秀

 品質管理の組織的な推進に関する第3者評価制度として、ISO 9001の認証制度、デミング賞がある。
総務省統計局によると、日本の事業所数は2014年で約550万(5×106)である。ISO 9001の認証取得組織数は約5万(5×104)であり、100に1組織の割合でISO 9001の認証を取得している。デミング賞受賞企業数は、2018年までで約200(2×102)である。両方とも認証取得か否か、受賞か否か0か1かの評価である、大雑把には106オーダーの組織のうち、104のISO 9001認証取得企業、102のデミング賞受賞企業であり、104の次が102である。品質管理に関する個人の能力の第3者評価制度であるQC検定の場合には、日本規格協会によると2017年9月までの合格者数累計は4級、3級がそれぞれ約1×105、約3×105、2級が約7×104、1級合格者数が約3×103である。級のねらいに鑑み3、4級をまとめて考えると、105、104、103と並んでいる。単なるこじつけなのかもしれないが、直感的には第3者評価は10刻み程度が適切と思う。また、ISO 9001とデミング賞という104と102の間の溝は広い。品質管理の第3者評価制度としてISO 9001からデミング賞の間に位置するものがあれば、志ある組織はその評価をもとに、徐々に自組織の品質管理の組織的な推進の質を向上させられるのではと考えている。
 第3者評価制度としてよく知られているのは、英語検定、TOEIC、TOEFLなどの英語能力評価であろう。英語能力の第3者評価に比べると、品質管理の第3者評価は困難である。それは、活動水準が次年々上昇することに起因する。例えばISO 9001においては、1987年版では結果が正しいことの提示、2000年版ではマネジメントシステム、2015年版では自立的な運営というように、約15年単位で要求水準を上昇させ、社会的要求に対応している。以前の先端的な活動が、時代とともにどの組織でも実施されるようになることによる。言語も進化するのであろうが、品質管理の進め方の進歩に進化に比べればそのスピードは緩やかである。社会における品質管理活動の質の全体的な向上を目指し、JSQCが各種団体と連携し、104と102間をつなぐ第3者評価制度の設計、実装を進めてはどうかと思う。


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