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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2017年12月 No.361

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■トピックス:JSQC規格「品質管理教育の指針」発行にあたって
■私の提言:支部活動の活性化のために
・PDF版はこちらをクリックしてください →news361.pdf

トピックス
JSQC規格「品質管理教育の指針」発行にあたって

原案作成委員会委員長 中條 武志

 品質管理教育に関する推奨事項をまとめたJSQC規格が発行されました。

規格開発のねらい
 近年、組織を取り巻く環境は大きく変化しています。このため、組織がその使命を着実に果たし続けるには、変化を的確に捉まえ、自組織の置かれた状況や自組織の強み・弱みに応じた経営目標・戦略を定め、その実現に向けて従来の仕事のやり方を変えていくことが必要です。
 しかし、考え方や価値観の異なる多くの人から成る組織では、お互いに連携することが難しく、従来の延長線上からなかなか抜け出せません。このような状況を打開するための一つの方法論がTQMです。
 TQMを実践する場合、組織の構成員一人ひとりが基本的な原則を理解し、方針管理、日常管理、小集団改善活動、品質保証などの具体的な活動に取り組む必要があります。これらの活動を適切に行う能力を持った人材をどのように育成すればよいかについては、規範となるものが少なく、各組織がそれぞれの実情を踏まえて独自の階層別分野別教育体系や品質管理教育のしくみを構築しています。そのため、中には、問題解決力などの品質管理に関する必要な能力を持った人材の育成が十分できておらず、結果としてTQMを適切に実践できていない組織もあります。今回発行されたJSQC-Std 41-001は、このような状況を鑑み、TQMを適切に推進するために必要となる品質管理教育を計画・実施・評価・改善する場合の推奨事項を定めたものです。

開発から発行までの経緯
 2016年1月26日の標準委員会において開発提案書が承認され、原案作成が始まりました。計11回の原案作成委員会(2016年3月から2017年3月まで)が開催され、原案が完成しました。
 その後、標準委員会での原案の確認と審議委員会の設置を経て、2017年4月に1回目の審議委員会が開催され、委員会原案が作成されました。また、2017年6月1日〜6月30日にパブリックコメントが募集され、審議委員会で集まったコメントに対する対応の審議と規格最終案の作成が行われました。
 2017年11月2日に、規格最終案が理事会で承認され、発行に至りました。

規格の内容
 本規格の構成は、1章「適用範囲」、2章「引用規格」、3章「用語と定義」、4章「品質管理教育の基本」、5章「品質管理教育の運営のプロセス及び組織体制」、6章「品質管理教育の計画」、7章「研修プログラムの運営」、8章「品質管理教育の評価・改善」、9章「TQM推進段階別・部門別・地域別の品質管理教育」となっています。
 4章では、TQMにおける品質管理教育の役割、品質管理教育におけるトップの役割、TQMにおいて求められる人材と能力、階層別分野別教育体系などの基本事項について解説しています。その上で、5章で品質管理教育の運営のプロセス及び組織体制について概括し、6〜8章で品質管理教育の計画・実施・評価・改善の各段階での推奨事項を示しています。また、最後の9章では、TQMの導入期・発展期・運用期別の品質管理教育、部門別の品質管理教育、海外拠点における人材育成を取り上げ、補足的な推奨事項を示しています。さらに、付録には代表的な研修のカリキュラム例も示されています。
 本規格はTQMを実践している組織やTQMの評価・診断を行っている組織に活用いただくことを想定していますが、あらゆる組織に適用可能です。ISO 9001をベースに品質マネジメントシステムを構築・運営しているものの、システムの有効性やパフォーマンスに物足りなさを感じている場合には、方針管理、日常管理、小集団改善活動、プロセス保証の指針と合わせて、これらを実践できる人材を育成し、必要な組織能力を獲得するために、本規格を活用されることをお勧めします。
規格一覧
http://www.jsqc.org/ja/oshirase/kikaku_list.html 

 


私の提言
支部活動の活性化のために

名古屋工業大学大学院 おもひ領域 川村 大伸

 今までの本部、中部支部、関西支部の他に、JAQ設立を睨み、第46年度には東日本支部および西日本支部の設立が決まりました。各地方における更なる学会活動の活性化が期待されます。
 筆者は学生時代に中部支部所属として多くのことを学ばせて頂きました。中部支部の事業所見学会では、当時から始まり現在でも続いている「参加者意見交換会」が開催されています。そこではグループ毎に参加者が分かれ、見学した内容について議論を交わします。博士課程在籍中には幹事の代わりに急遽グループリーダーを務めたこともあり、今では良い思い出です。また、学会の研究発表会では大学関係者が多数を占めるものだと思い込んでいましたが、企業からの参加者が大多数であることに驚かされました。
 大学院修了後は関東の大学に就職し、中部支部からはしばらく遠ざかっていましたが、昨年中部支部に復帰いたしました。今年の2月には中部支部に産学連携研究会が立ち上がり、私は副査を務めています。そこではものづくり企業における生々しい課題に触れることができ、貴重な体験をさせて頂いています。まだ始まったばかりですが、企業の課題解決、および大学が保有するシーズの実用性評価という方向性で順調に進んでいます。
 以上のように、ものづくりが活発な地域柄もあり、昔から中部支部は現場に即したものづくりに関する研究や議論を行うには適した場所です。中部支部の研究発表会を見てみますと、第114回の研究発表会では参加者が84名ということで、私が知っている他学会と比べてみても支部活動としては大変成功していると思います。しかしながら、学会員の多くは本部に所属していることから、本部からの参加者がもう少し増えても良いのかなと思っている次第です。特に品質管理に関する大学の研究者は関東に集中しているため、支部の研究発表会に参加して頂けると支部活動の活性化に対して大きな貢献になると考えています。


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