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JSQCニューズ 2017年5月 No.356

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■トピックス: 改善活動の要員・組織認証の国際規格 ISO 18404国際動向シンポジウムルポ
■私の提言: 組織本来の目的を達成する為に
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トピックス
改善活動の要員・組織認証の国際規格 ISO 18404国際動向シンポジウムルポ

一般財団法人日本規格協会 遠藤 智之

 ISO 18404は、シックスシグマおよびリーンの実施に関わる要員と組織に対する要求事項を規定した国際規格である。英国がシックスシグマに関する認証を行うことを発表してから約1年が経過した。この間、英国王立統計学会(以下、RSS)は、英国認証機関認定審議会(以下、UKAS)と協力し、認証のパイロットプロジェクトに積極的に取り組んでいる。
 英国の状況を明らかにし、日本国内へ情報共有することを目的とし、ISO 18404国際動向シンポジウムが2017年2月10日(金)、日本品質管理学会後援のもと日本規格協会主催で開催された。


 シンポジウム開催にあたり、日本規格協会 理事長 揖斐敏夫より開会挨拶があり、「日本の品質管理とシックスシグマは別々の道を歩んできたが、英国では認証制度が動き始めるなどシックスシグマを取り巻く動きは刻々と変化している」とグローバルに対応していく必要性を述べた。更にISO/TC 69国内委員会委員長の尾島善一氏から、「ISO/TC 69で開発される国際規格はここ10年にかけて変化をしており、ISO 18404のように認証に関わるようになってきている」と1949年に設立されたISO/TC 69の統計的方法に関する国際標準化の歴史的経緯と状況の変化について説明があった。
 講演では、先ず初めにISO/TC 69/SC 8議長である椿 広計氏より「イントロダクション−何が問題となりえるか−」と題して、2015年に改訂されたISO 9001の要求事項とISO 18404がリンクし得る可能性について説明があった。椿氏は、「日本では、改善活動が歴史的な流れとともに組織されてきたが、そこへISO 18404という主要専任者の能力と適格性を規定した国際規格が生まれたということを勉強していかなければならない」という。
 ISO/TC 69/SC 7日本代表エキスパートである石山一雄氏からは、「ISO/TC 69/SC 7の規格開発と日本の現状」と題して、ISO/TC 69/SC 7の規格開発、日本の現状の説明などがなされた。石山氏は、現在、海外企業との取引においてシックスシグマが要求されるケースが増えていることをふまえ、将来、ISO 18404が取引先から要求される可能性について言及された。更に「米国や中国は、この認証制度の動きを静観しているが、対応可能な体制はある。しかし日本は…」と、将来を見据えて、国内での体制構築の必要性を提起された。
 続いて、ISO/TC 69/SC 7副議長であり、ISO 18404の開発をリードしていたChris Harris氏より「ISO 18404:2015規格の概要」として、規格のコンセプトについて説明がなされた。ISO 18404が産業界へもたらす価値について、Harris氏は、「能力を持った要員を明確にする点」、「(転職の場合など)他社でも個人の力量を判断できる点」、「標準化したアプローチを実施可能にする点」、「(力量維持のため)定期的な見直しがある点」などを挙げた。
 ISO 18404認証スキームの責任者であるTony Bendell氏からは、「ISO 18404認証パイロットプロジェクトの紹介」として、英国で開始する認証スキームの概要と今後の計画が説明された。
 Bendell氏は、シックスシグマについて、「世界でビックビジネスになってきている」と述べ、実践的にブラックベルト等の力量を評価している団体、料金さえ支払えばベルトを取得できる団体など、現在、世界各国でベルト認証が氾濫し、要員の力量にばらつきが出ているという。“世界で統一した組織及び要員の評価基準が存在しない”、これがISO 18404認証が開発された背景とのこと。Bendell氏によれば、要員認証は、RSS主導のもと実施し、組織認証は、UKASが主導のもと、認証機関の立会審査などを通じて、2017年中にこの認証制度に参加する認証機関を公表する計画だという。ISO 18404の導入に関心をもっている国は、英国外にもあり、オーストラリア、インド、米国、カナダ、ブラジルなどの団体からも照会があるほか、今後、IAF加盟機関とも連携を図っていく考えを示した。
 講演後、満席となった会場からは、活発な質疑が寄せられ、参加者の関心の高さが伺えた。この認証を取り巻く海外の動きには、今後も注視していく必要がある。

 


私の提言
組織本来の目的を達成する為に

一般財団法人 日本科学技術連盟
ISO審査登録センター 理事・上級経営管理者 小野寺 将人

 2015年にQMS及びEMSの規格改正があり、2017年度は移行審査のピークを迎える。2015年版規格改正は、認証組織としても正念場であり、認証機関にとっても正念場である。認証機関は3年間と規定された移行期間において“組織本来の目的を達成する為に”移行審査を推し進めていかなければならない。ただ単に認証証を発行する実務的な行為ではなく、組織の事業目的、事業継続・発展に少しでも寄与する審査活動を実施して行かなければならない。
 2015年版改正の背景にはさまざまな問題があった。事業活動から乖離した、規格や審査に応えるだけのマネジメントシステムの構築や運用、組織の戦略的事業目的や社会の期待と乖離した、不適切な適用範囲の設定、認証を得たにも関わらず意図する成果が得られない実態、現場のスタッフの知らないところでの一部の関係者だけの構築・運用、サービス活動を考慮に入れない「製品」の狭義な捉え方による部分構築・運用、「環境」の狭義な捉え方による「紙・ごみ・電気」だけの活動、さまざまなマネジメントシステム規格の規格毎の構築・運用等が考えられる。
 認証機関として審査を通じて何が出来るのか。年に1日から2日の審査でさまざまな問題に対応できるのか。あるマネジメントシステムの規格要求事項の逐条的確認だと、有効性の観点から、出来ることは少ないかもしれない。事業継続、事業発展を阻害する脆弱な問題の検出なら、短い審査日数でも出来ることが多いのではないか。脆弱な点を検出し、規格に結び付けてコメントする、今まで以上に審査員の力量が必要であり、その力量を担保するための認証機関のスタンスと活動が重要となる。
 今こそ本気で有効性を追いかけなければ、組織の本来の目的達成に近づいていけない。組織は組織の事業目的を達成する為に効果を発揮するマネジメントシステムの構築・運用を目指し、認証機関は組織の事業目的を達成する為の第三者審査を目指さなければならない。
 「マネジメントシステムの有効性」も「審査の有効性」も組織の事業目的を達成する為に向かわなければならない。社会的責任、説明責任を果たすためにも審査の有効性を追求していきたい。


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