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JSQCニューズ 2017年2月 No.354

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■トピックス: 第103回品質管理シンポジウム報告 −IoT時代における品質管理の役割と重要性−
■私の提言: 品質保証教育
・PDF版はこちらをクリックしてください →news354.pdf

トピックス
第103回品質管理シンポジウム報告 −IoT時代における品質管理の役割と重要性−

日科技連出版社 戸羽 節文

2016年12月1日から3日にかけて、(一財)日本科学技術連盟主催の第103回品質管理シンポジウム(QCS)が、「IoT時代における品質管理の役割と重要性−IoT時代の品質保証とTQMの姿を探る−」というテーマのもとに(主担当組織委員:佐々木眞一氏/(一財)日本科学技術連盟 理事長、トヨタ自動車(株) 顧問・技監)、箱根ホテル小涌園において開催された。今回は今話題のテーマもさることながら、特別企画としてQCS賛助会員会社であるトヨタ自動車(株) 取締役社長 豊田章男氏が登壇されることもあり、250名を超える多数の参加者が集う熱気に満ちあふれたシンポジウムとなった。

 豊田章男氏の特別企画は「自動車の明るいミライへの挑戦」という演題で、BSジャパン日経プラス10メインキャスターの小谷真生子氏との対談形式で行われた。全世界35万人の従業員を擁する大企業のトップとしての責任は重大である。トップの役割は、誰にも決められないことを決めること、そして責任を取ることであると明言された。品質問題に関する米議会の公聴会で矢面に立ち、その試練の中で改めて認識されたとのこと。社長としていろんなことに挑戦し、組織に手を加えたりもしたが、結局は「人」に行きつくという。トヨタ工業学園のビデオが放映され、トヨタでは、自ら考え、自ら動く人材を育てることに力を入れていることを紹介。技よりも人間としての道徳観念が大事である。強く、たくましい人材、事が起こった時、進んで前に出られる人、状況判断が的確にできる人を育てる。小谷氏は、トヨタの人材育成を見ていると、「相手を慮(おもんぱか)る」「間(ま)をはかる」といった今の日本人には希薄となった、日本人が本来持っている日本人の良いところを感じるという。人中心の経営、人材育成に向けて、自分も人としての完成度を上げる努力をしていきたい。イソップ童話『北風と太陽』の「太陽」のような存在になりたいとの熱い言葉で対談を締めくくられた。
 人間性尊重、人重視はTQMを支える大きな柱の一つである。ここにトヨタの強さ、底力の源泉を見たような気がした。

 法政大学 教授 西岡靖之氏の基調講演、4名の企業トップの方々の講演ののち、参加者は7班に分かれ、それぞれのテーマでグループ討論が行われた。
■[基調講演]つながらない製造業は生き残れるか?/西岡靖之氏(法政大学 デザイン工学部 教授)
■[講演1]コマツにおけるIoT活動について/大橋徹二氏((株)小松製作所 代表取締役社長(兼)CEO)
■[講演2]ロボット革命により世界に勝つ日本のものづくり/小笠原浩氏((株)安川電機 代表取締役社長)
■[講演3]オムロンが提案する、新しいオートメーションによるモノづくり革新/山田義仁氏(オムロン(株) 代表取締役社長CEO)
■[講演4]Becoming Digital Industrial 「次世代製造業」を目指すGEの挑戦/熊谷昭彦氏(GEジャパン(株) 代表取締役社長 兼 CEO)

 次回、第104回品質管理シンポジウムは2017年6月1日(木)〜3日(土)、テーマは「変化に対応できる、変化を生み出せる組織能力の獲得」。なお、会場の「箱根ホテル小涌園」は、今回の第103回をもって最後となる。1965年6月の第1回から今回の第103回まで52年の長きに亘って会場として使用され(途中2回は別会場で開催)、品質管理シンポジウムといえば“箱根QCS”と呼ばれるほど、親しみをもって浸透した会場であった。諸先輩たちが歩いたコンベンションパレスにつながる、長く、急な階段を一歩一歩踏みしめながら、そのお顔を思い出しながら登ったのは私だけではなかったのではないだろうか。

 


私の提言
品質保証教育

サントリースピリッツ(株) 中島 康智

 入社直後の'80年代初頭「QCサークル活動」を通じ品質管理に出会った。その後TQC導入宣言。宣言から2年後、「方針管理」「日常管理」「QCサークルの指導・育成」の3つを仕事として着実に進める事がTQCをやっている事との言明。TQC指導会で徹底的に「方針管理」の考え方を学んだ。全社で「QCの考え方」を学ぶ黎明期、ベクトル合わせの為にも本メッセージは判りやすい。が、小生には何故「品質保証」を取り上げないのか長い間違和感があった。当時石川馨先生著「日本的品質管理」の一文「品質保証は、品質管理の真髄である。」に感銘し共感を持った事(今でも黄色いラインマーカーが残っている)が違和感を持った理由だ。昨今、ビジネスの至る所で「革新」が謳われ「方針管理」は非常に重要。TQC導入宣言当時も早期に成果を得る為か「方針管理」の徹底が必要であったと推察する。一方「お客様第一」も同様に至る所で日々目にする。お客様を大切にし、お客様の期待に応える。本質である「品質保証」の為に「方針管理」「日常管理」が存在していると考えているので、当時の小生の違和感は正しかったと今でも勝手に思っている。
 ところで最近、「方針管理」「日常管理」が着実に実施されていない事柄に遭遇する。背景に品質管理リテラシーの低下、特に「品質保証」に対する教育が不十分ではないかと考えている。諸先輩方が苦労し定めた「方針管理」「日常管理」のルール遵守はもちろんだが、「何故守らないといけないのか」、「何の為に守るのか」をあえて議論し、先人の苦労を感じることで「方針管理」「日常管理」の目的である「品質保証」が体に沁み込んでいく。「品質保証」に特化し考え議論する教育プログラムが出来れば、既存のルールをベースに品質保証力が飛躍的に向上するのではないかと考えている。
 品質管理が「手段の体系」である為品質管理教育についてはWeb上でも様々なサイトや手法を見かけるが「品質保証教育」となるとなかなか見当たらない。この教育は各企業独自のものではないかと最近思い始めている。製造現場の後進と共に「日常管理」をベースに「品質保証」をしっかり掴んでいく教育プログラムを立案し実行する事が今後の小生の課題と思っている。「品質保証教育」に対する先輩諸兄のご意見を頂戴できれば非常にありがたいと考えている。


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