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JSQCニューズ 2016年11月 No.352

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■トピックス: 新研究会「医療の質マネジメントシステム監査研究会」の発足
■私の提言: 今まで以上に経営の質が問われる時代に
・PDF版はこちらをクリックしてください →news352.pdf

トピックス
新研究会「医療の質マネジメントシステム監査研究会」の発足

医療の質・安全部会 部会長 棟近 雅彦

 当部会は、2005年12月10日に第1回総会を開催し、活動を開始した。医療の質・安全の向上は社会的に重要な課題であり、これに対して医学系と工学系の実務家、研究者が、共同で取り組む意義が高いとの認識のもと、医療の質・安全を主要な研究領域とし、医学系、工学系が融合する場を提供してきた。
 研究テーマとしては、開設当初から、医療の質マネジメントシステム(医療QMS)と患者状態適応型パス(PCAPS)を柱としてきた。前者は、医療における管理技術はいかにあるべきかの研究であり、後者は固有技術である臨床技術をいかに効果的に蓄積、活用するかに関する研究である。
 この定常的に行う研究とは別に、2007年〜2008年には、医療の質マネジメントシステム研究会(略称医療QMS研究会)を開催し、ISO 9001の審査員、コンサルタント、医療者の方々に参加していただき、ISO9001の要求事項の医療向け解釈、医療機関での内部監査の進め方、医療機関における管理指標の研究を行った。この成果はJSQCの研究発表会で報告しているが、主査であった大和田孝氏が急逝されたこともあり、2年間で終了している。

 その後、QMS活動やISO 9001の認証に取り組む病院は増えている。一方、団塊の世代が引退する時期を迎え、医療QMSを適切に審査あるいは監査できる人材が減少してきている。QMSという点では、工業と共通している点もあるものの、医療の特殊性を考慮することも必要であり、医療QMSを適切に評価するには、ある種の能力、知識が必要である。
 現在は、QMSによって医療の質・安全を確保するための基盤が整備されてきており、今後、QMSの有効性をチェックし、PDCAサイクルを回していくことが、質・安全向上のために大切な活動になる。そのためには、内部監査、マネジメントレビュー、外部審査などを通じてQMSの問題点を効果的、効率的に抽出することが必要である。また、ISO 9001は、2015年に改正版が発行されており、その際に追加された要求事項をどのようにQMSに取り込むかも考察する必要がある。

 そこで本部会では、医療のQMSの監査(審査)における有効な視点を探るべく、下記の研究目的、研究内容の新研究会を立ち上げることにした。

研究目的:
 医療のQMS監査(審査)における有効な視点を明らかにする。その中で、特にISO 9001:2015の特徴を明確にし、それらのQMSへの活用方法および監査(審査)の視点を明らかにする。

研究内容:
1)品質マネジメントシステム規格国内委員会監修「ISO 9001:2015 要求事項の解説」、日本規格協会等を参考に、ISO 9001:2015の特徴を明らかにする。
2)医療従事者は、1)に関して自身の病院でどのような取り組みを行っているか(これから行おうとしているのか)、それらを内部監査でどのように確認しているか(これから確認しようとしているのか)を調査し、発表する。
3)審査員、監査員、コンサルタント等は、1)に関して医療機関でどのような取り組みがあるか、それをどのような視点で監査(審査)しているか(これからしようとしているか)について、整理し、発表する。
4)2008年度版と2015年度版で、検出課題についてどのような違いがあるかを分析する。
5)以上の議論を受けて、監査(審査)の視点を明確にする。
 研究会主査には、医療者でありISO 9001の審査員でもある南大阪病院の香西瑞穂氏に、副査には大久野病院院長進藤晃氏、前橋赤十字病院副院長阿部毅彦氏にお願いした。第1回の研究会は、2017年1月14日(土)を予定している。部会に入会していただければどなたでも参加可能である。会員の方々の積極的な参加を期待したい。

 


私の提言
今まで以上に経営の質が問われる時代に

東レ株式会社 内田 章

 リオ・オリンピックで、日本はメダル獲得総数過去最多を更新した。パラリンピックとの合同凱旋パレードでは、沿道に約80万人が集まり、周囲は大歓声に包まれた。この熱狂が、やがて東京2020大会へのより大きな期待に繋がっていくのであろう。
 リオ・オリンピックでは、男子柔道が全7階級でメダル獲得という素晴らしい結果を残した。このような快挙は、やはり科学的なトレーニングの成果に負うところが大きい。身体面、精神面の特徴が運動能力のどこに影響を与えているのか、外国選手との差異はどこにあるのか、といった要因分析をベースに、記録や勝敗との因果関係を徹底的に調べて、練習に活かしたことが役立っている。正に、QCストーリーに基づく問題解決が実践されたということだと思う。
 翻って、最近の日本企業の成績を考えてみると、メダルの総数はどれくらいになるだろうか。残念ながら、日本企業はかつての強さが失われて、現在、収益力は欧米企業に比べて遙かに劣ると言われている。それが引き金となり、昨年6月にコーポレートガバナンス・コードが導入された。しかし、我々企業人としては、このコードを適用すれば直ちに収益力が高まり業績が上がると、単純に考えるわけにはいかない。企業の低収益性は、会社ごとにそれぞれの要因があり、それを見極める必要がある。まずは、海外を含めた競合会社と自社とで、経営資源、経営体制にどういう差異があり、それが競争力にどう影響しているのか、といった分析を徹底的に行う必要がある。その中で、コーポレート・ガバナンスに関連する要因があれば、コードの趣旨を踏まえつつ対策を講じなければならない。すなわち、企業の収益力の問題も、QCストーリーに沿って問題解決を図る必要があるということである。新聞等で注目度の高い社外取締役の導入についても、単に二人以上入れれば良いというのではない。現状分析に基づき、自社の競争力強化のために必要な資質を見極めて、そういう資質を持った人になってもらうことが重要である。つまり、形ではなく質が重要なのである。企業不祥事の防止も全く同じだ。問題の本質、真の要因を押さえない限り、形だけ整えても意味がないことが、様々な事例で明確になった。グローバル化の進展、企業の社会的責任の増大に伴い、今まで以上に、経営の質が問われる時代になってきたわけである。


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