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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2016年9月 No.351

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■トピックス: ソフトウェア部会の活動紹介
■私の提言: 視覚障害者の移動における安全の確保を
・PDF版はこちらをクリックしてください →news351.pdf

トピックス
ソフトウェア部会の活動紹介

ソフトウェア部会 部会長 長坂 康史

■ソフトウェア部会
 ソフトウェア部会は、日本のソフトウェア産業の競争力の確保を目的とし、ソフトウェアの品質に焦点を当てた活動を行っている。ただ、大きな目的を掲げてはいるものの、一言に品質と言ってもその範囲は大変広く、方向性も多岐にわたることから、非常にゆっくりとしたペースで活動している。
 登録メンバは80名ほど、その中でもアクティブメンバは約20名。せっかく登録されているのに、まだお会いできていない方も大勢おり、この点については、興味を持っていただくため、また、部会会合に足を運んでいただくために、何をしなければならないかを真剣に考えなければならないと思っているところである。
 ソフトウェア部会の活動の中心は、ほぼ毎月開催される約2時間の部会会合で、メンバ同士の交流とともにテーマに関する議論を行っている。出席者は毎回、15名程度であるが、産学両方から参加があり、その割合は4対1ほど。また、年齢の幅は30歳をゆうに超える状況で、いろいろな意見が飛び交い、議論は脱線しながらも、得るものも多い、楽しい会合となっている。

■これまでの部会活動
 ソフトウェア部会のメンバは、ソフトウェアの開発経験の豊富な方々から、まだそれほどでもない方々まで幅広い。そのこともあり、これまでの経験をいかに若い世代に伝えるかということに焦点を当て、明文化されていない暗黙知を経験者から引き出し、それを形式知化することに力を注いできた。その結果、「形式知集」としてまとめたことはご存知のとおりである。
 この成果物は、ソフトウェア開発で問題が起こった時に、その解決の糸口をこれまでの経験から見つけるための逆引き形式となっている。学会のウェブページからダウンロードできるので、是非、参考にしていただきたい。

■最近の部会活動
 部会活動は、常にソフトウェアの品質を議論の中心に置きながら、ゆっくりではあるが目的に向かって一歩一歩、進んでいる。形式知集が完成した後は、これまで高い品質を保ってきた日本のソフトウェア開発に焦点を当てることで、これからのソフトウェア品質を議論することができないか、また、豊富な経験をお持ちの方々がこだわってきたものに焦点を当てることで高品質を考えることができないか、といろいろな角度から意見交換を進めてきた。
 最近では、産学それぞれの方々が集まっていることもあり、品質の高いソフトウェア開発を行うための人材育成をテーマとして議論している。
 紆余曲折を経て、現在、ソフトウェア開発の初期段階である要求定義に着目している。単なるテクニカルライティングの手法ではなく、要求仕様書という文書の性質を理解した上での文章表現と文章構造が必要ではないかと考え、その部分に焦点を当てている。今後、様々な角度から議論を深め、ある一つの形を示すことができればと思っている。

■部会会合でのできごと
 先日の部会会合で、要求仕様の文章表現について議論している時に、どうも話がかみ合わないことがあった。日本語表現は難しいという話をしているくらいなので、十分注意して話を進めていたはずだったにもかかわらず、である。結局、仕様書の読み手を明確にせずに議論していたことが原因だったのだが、まさに、議論している表現の難しさを皆が経験した面白い瞬間であった。

■ソフトウェア部会へのお誘い
 ソフトウェア部会の会合は、自由に話ができる、楽しい意見交換の場であると考えていただければと思う。メインテーマを中心にして話を進めてはいるが、日々の開発で困っていることを相談する場や情報発信の場であっても良いと考えている。また、メーリングリストやSNSを利用した情報交換や情報発信も進めつつある。これら一つ一つの活動が、日本のソフトウェア産業の底力になると信じている。
 ぜひ、より多くの皆様にソフトウェア部会に参加していただき、楽しく議論していきたいと考えている。

 


私の提言
視覚障害者の移動における安全の確保を

筑波技術大学 保健科学部情報システム学科 嶋村 幸仁

 私が勤務する国立大学法人筑波技術大学は、我が国で唯一の聴覚障害者・視覚障害者のための高等教育機関として、29年前に創られた大学です。私は、視覚障害者に対して経営学系の教育と就職の担当を行っていますが、学生及び保護者からは卒業と就職の両方を同時に叶えてほしいとの要望がとても強い大学です。実際、学生が一人で就職先を探すのは、障害の程度にもよりますが、とても難しいです。
 視覚障害者といってもその見え方は全盲者から弱視者まで千差万別で一人ひとり違います。焦点が合わずぼやけてしまう、明るい・暗いと視力が低下する、視野が狭い、視野の一部が欠損しているなど特に、中心部が見えない症状の学生はとても苦慮しています。しかし、近年ではPC(パソコン)におけるスクリーンリーダーが発展しており、音声のみでPCを操作し、Excel、Wordの操作やプログラミングをすることも可能です。情報システム学科の学生はこうした能力をつけて就職しています。就職にあたっては現在、障害者の法定雇用率(民間企業で従業員50人以上の場合には2.0%の雇用)の枠を利用しての就職が多いです。
 しかし、就職には公共交通機関を利用して一人で会社まで移動できなくてはなりません。特に、全盲者などは、白杖や盲導犬を利用しての移動を行っていますが、8月15日に東京メトロ銀座線青山一丁目駅にてホームから線路に転落し、電車にはねられる死亡事故が発生しています。また、7月2日には兵庫県の山陽電鉄西飾磨駅で点字ブロック上にあった工事用のフェンスに白杖を引っ掛けて転倒し、脚を骨折する重傷を負っています。視覚障害者の36%が線路への落下経験があるとしているデータもあります。さらに、東京メトロの全179駅のうち2割にあたる32駅で点字ブロック上に柱があり歩行を妨げているとのことで、視覚障害者は柱を避ける際に方向感覚を失うことがあると聞いています。就職ができても移動に不安がある状況を改善してもらいたいと思います。ホームドアの設置や点字ブロックの改善を望んでいますが、資金面での設置困難理由を挙げています。しかし、高価なホームドアではなく、簡易的に線路沿いにパイプを埋め込みロープやチェーンなどを張ることで緊急に対応するなど、対策を進めていただきたいと切に願うものです。


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