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JSQCニューズ 2014年 3月 No.331

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■トピックス:日本規格協会本部移転と思い出
■私の提言:がんばろう!「ニッポン」
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トピックス
日本規格協会本部移転と思い出

明治大学 名誉教授 大滝 厚

 2013年12月、地下鉄銀座線・丸ノ内線赤坂見附駅から5分ほどの赤坂牛鳴坂にあった日本規格協会(JSA)がJR田町駅、都営地下鉄浅草線・三田線三田駅、同泉岳寺駅から8分弱の京浜第1国道に面した港区三田3丁目にある三田MTビルへ移転した。
 JSA本部は、設立当初の1945年12月には、東京都麹町区三年町(現千代田区霞が関、永田町界隈)の特許標準局内にあり、1952年8月に工業技術院庁舎内(中央区銀座東7丁目)、その後1954年10月に木挽館ビル(中央区銀座東6丁目)と移転を繰り返して、ようやく1962年5月に赤坂の本部ビルが竣工し本拠を構えた。以来51年ぶり4回目の移転となる。旧本部ビルは、青山通りから一歩入った都心の便の良い所にあったが、跡地は周辺地域と共に整備して大学が進出する計画とのことである。
 私が赤坂の本部ビルに通った最初は、大学を卒業して社会人となった2年目の1965年で、東京オリンピックが成功裏に終わった翌年である。当時の勤務先はJIS表示許可工場であり、通産局長表彰の候補事業所となっていて、標準化と品質管理に熱心に取り組んでいた。私は、就職先を決めるにあたって品質管理をやりたいと思って入社したので配属先が管理部品質管理課であった。そのため審査準備の手伝いをしながら「標準化と品質管理」講習会の夜間コースへ派遣された。印象に残るのは故朝香鐵一先生の歯切れのよい講義である。その後大学院へ進学し、修了と同時に明治大学の助手として採用された。多分、1970年代の半ばころと記憶しているが、今度は縁あって「標準化と品質管理」講習会の講師となり統計的方法を中心に講義を担当するようになった。そして大学在職中の最後には、現JISマーク表示制度に関わる一般認証指針JIS Q 1001の分科会主査を拝命した。まさに規格協会との関係は「JISに始まりJISに終わる」お付き合いである。
 さて新本部であるが、1階入口にJSAライブラリー、その奥に講義室、会議室などがある。本部機能は、9-11階のオフィスに集中し、効率的な業務遂行とマネジメントが期待できる。
 ところで、本部のある三田MTビルに面した京浜第1国道は旧東海道でもあり歴史探訪という面で魅力的である。田町駅から徒歩で協会へ向かう途中にある「札の辻」(高札場)歩道橋からは東京タワーの美しい姿を見ることができる。ビル斜め前には由緒ある御田八幡がある。さらに行くと高輪の大木戸跡、赤穂義士四十七士の眠る泉岳寺へと続く。また田町駅から逆方向の浜松町駅方面へ歩くと三菱自動車工業・本社前に西郷・勝の江戸城無血開城会見の碑がある。協会で用を済ませたらこの辺りを散策するのもよい。


私の提言
がんばろう!「ニッポン」

 
トヨタ車体(株) 八重口 敏行

 ソチ冬季オリンピックが開幕した(執筆時点)。私も「オリンピック好きの日本人」の一人として、熱い気持ちで毎日の競技を見つめている。オリンピックが「国威発揚の場」であるか、「メダルの数は国力の表れ」といえるかどうかは様々な意見があると思うが、「国」を意識する場であることは間違いないであろう。
 今日、企業活動はボーダーレスになり、経済はグローバルに連動するなど、「国」というものの意識が弱まってきていることを感じるが、一方で、モノづくり企業として「国内事業」について考える機会が増えてきていることも事実である。
 すなわち、「地産地消」の考え方も含め、巷間言われる「グローバル経営」では、どこに本社、開発拠点、生産拠点を置くか、どこの国の人を雇うかは経済合理性で判断ということになり、勢い、国内事業は縮小されていく傾向にある。厳しい国際競争に打ち勝つにはこの考え方もやむを得ないと思うが、日本という国に生まれ育ち、企業としても日本で成長できてきたという経緯を踏まえると、本当にその流れにのるだけで良いのかという思いを強く感じている。
 もちろん、経営に甘さは禁物でノスタルジーに浸っている状況にはなく、「ニッポン」に事業拠点があっても世界の競争に勝てるようにすることが命題となる。つまり、「ニッポン」の強みを活用し国内でやるべきことを徹底的に研ぎ澄ますことが必要になる。
 日本の強みには幅広い産業の基礎技術が集積されていることがあり、日本人の強みには勤勉、旺盛な学習意欲、チームワークといったことがあげられると思うが、それらをベースにした「品質管理」も強みの一つであると思う。少なくとも日本の工業製品が先進国市場を席巻した理由の一つが日本製品の品質の高さであったことは間違いないであろう。その意味で、日本でのモノづくりをより競争力のあるものにするのに「品質」は欠くことのできない要素であると私は確信している。
 残念ながら昨今、日本製品の品質問題が散見されたり、アジアの現地資本の工場の方が愚直に日常管理している様を見聞きするが、「品質」の強さを取り戻し、さらに研ぎ澄ますべく企業人として、品質管理学会の理事の一人として尽力したいと思っている。


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