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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2009年 11月 No.296

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■トピックス:ANQ Congress Tokyo 2009を終えて
■私の提言:関西支部での活動をとおして感じたこと
・PDF版はこちらをクリックしてください →news296.pdf

■ トピックス
  ANQ Congress Tokyo 2009を終えて

国際委員会委員長 鈴木 知道

大会の概要
 第7回アジア品質ネットワーク東京大会が、9月15日から9月18日にかけて東京の早稲田大学西早稲田キャンパスにて開催された。日本での開催はANQの準備大会にあたる2002年のAQS以来であり、ANQの正式な大会としては初の開催となった。
 大会は日本品質管理学会と早稲田大学理工学術院との共催、そして日本科学技術連盟及び日本規格協会の協賛で行われた。大会運営にあたって、組織委員会は理事会が、実行委員会は国際委員会が、プログラム委員会は論文誌編集委員会が主体となった。
 アジアを中心に21の国・地域から、合計400名を超える参加があり、盛況裏に大会を終了することができた。海外からの参加者も約250名あり、昨今の世界的な経済状況を考慮すると、予想を超える多くの研究者・実務家の参加を得ることができた。
大会の様子
 大会に先だって14日と15日にANQ理事会が行われた。ANQの発展、拡大に伴い議事が増え、今回から2日間の開催となった。また、コミュニケーションミーティングと称するANQの全組織の代表による会議が開かれた。全ての会員組織が意見を発言できる場の重要性が改めて認識され、今後は継続的にこのような会議が開かれるであろう。
 大会の最初のプログラムは、15日夕方のウェルカムレセプションであった。今回の目玉はSIG(Special Interest Group)である。SIGは10名程度の小グループであり、リーダーが提案したテーマに沿って議論を行うものであり、参加者間のコミュニケーションを活発化させることも目的の一つである。実際、多くの国の方々が程よく混じり、活発な議論が行われた。
 16日の9時から開会式が開かれた。今回のANQ大会では、特に国内からの参加者増加を目指して、すべての基調講演が英語日本語間の同時通訳つきで行われた。ANQ会長のJanak Mehta氏、そして小松製作所代表取締役会長の坂根正弘氏から、聴衆が熱心に聞き入る貴重な講演をいただいた。
 16日の午後から17日の午後にかけて、テクニカルセッションが行われた。オーラル発表とポスター発表の合計で162件と多くの発表があった。特筆すべきは、オーラル発表のキャンセルが皆無だったことだ。キャンセルポリシーを明示したこと、そしてスタンバイペーパーを準備した効果もあり、予定通り100件の発表が行われた。特別セッションとして行われた二つのパネルディスカッションと一つのサテライトセッションも盛況であった。
 閉会式ではIAQ会長のGregory Watson氏、ANQ名誉会長の狩野紀昭氏から有益な基調講演をいただいた。引き続き表彰式が行われ、優秀論文賞は、ポスター発表の論文も含め11組織からの延べ20件の論文に与えられた。そして、インドのニューデリーでの次回ANQ大会開催の紹介が行われた。
 閉会式に引き続いて、フェアウェルパーティーが開催された。再びSIGが開催され、さらに参加者間の交流が深められた。SIGの後に、各組織からの出し物が催され、それぞれ歌や踊りを披露していただいた。最後は、参加者全員が非常に和気あいあいとした雰囲気の中、解散となった。
 最終日の18日には、3つの見学会(日産自動車樺ヌ浜工場、サンデン潟Tンデンフォレスト、東京電力兜x津火力発電所)が行われた。いずれも定員いっぱいで、参加者は希望した見学所を堪能したようだった。
今後に向けて
 JSQCとしては産のメンバーを中心に、より質・量とも高めた参加を促すこと、ANQとしては、各国会員組織間の連携をより強くしていくことが今後の課題として挙げられるのではないかと思う。
 今回の大会の運営方針はANQ Wayにのっとり、「質素、手作り」を掲げて行われた。プロのイベント業者を使わない、完全手作りの大会となった。その分、至らなかった点も多くあったと思われるが、非常に多くの方々のご協力のおかげで、成功裏に大会を終了することができた。改めて、感謝の意を表したい。



■私の提言
  関西支部での活動をとおして感じたこと

大阪大学 黒木 学

 品質管理のイロハも満足に知らず、学会活動など表立った活動も得意ではない私が関西支部役員となり、研究発表会(関西支部)責任者となったのは2006年10月であった。それまでは発表件数・参加者数ともに、私には「普通」のレベルとは思えない関西支部の研究発表会を「普通」にしたいと思い、関東から来た「外様」の私が関西支部のために奮起したのは、猪原先生(大阪電通大)と泉井先生(関大)の激励があったからだったと記憶している。今にして思えば、不出来な私をよくぞ信頼してくれたものだと感心する一方で、私は会員の期待にちゃんと応えているのだろうかと自問自答することがある。
 その関西支部の研究発表会が、最近では「普通」の状態に変わりつつある。2007年度は、1)アンケート調査、2)「研究」と「事例」の2セッション制、を実施し、次年度には3)特別講演の実施、4)発表賞の創設、を行った。2009年度は責任者からは外れ、その代わりに関西支部を活性化するという目的で、5)「統計的品質情報技術開発研究会」を立ち上げた。1)から4)については研究発表会の活性化に結びつきつつある一方で、5)については、今年度は研究会メンバーのポテンシャルに頼らざるをえなかったことが残念であった。来年度は、メンバーとともに学会の活性化に貢献をしたいと考えている。
 1)と2)を実施するにあたり、「学会のあゆみ」を参考にした。そこから察するに、80年代までは、業種・地域・考え方の異なる様々な会員が研究発表会で発表していたようである。それは、まるで異文化交流の場であり、活気に満ちた研究発表会の様子が垣間見られるだけでなく、いかなる問題も「品質問題」として許容する学会の「度量の広さ」を感じとることができる。「学会のあゆみ」を読んだとき、私には、学会設立者の意思や学会史の中に品質管理学会の飛躍に結びつくヒントが隠されているような気がしてならなかった。過去の活動と比較するわけではないが、最近になって「80年代以上に価値観が多様化した現在、我々にそのような度量の広さはあるのだろうか?」と考えることがある。品質管理学会として新たな挑戦を続けることも重要であるが、原点に立ち戻って学会のあるべき姿を再検討することも必要なのではないだろうか。


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