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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2008 3月 No.283

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■トピックス:「次世代TQMの構築」プロジェクトについて
■私の提言:TQMをシンプルに!もっと魅力的に!
・PDF版はこちらをクリックしてください →news283.pdf

■ トピックス
  「次世代TQMの構築」プロジェクトについて

日本品質管理学会 会長 圓川 隆夫

 「次世代TQMの構築」とは、(財)日本科学技術連盟が推進するプロジェクトであり、これに学会の中期計画の柱の一つである「Qの確保」の産学連携プロジェクトとジョイントさせながら進められているものである。昨年春その準備会が立ち上げられ、本年2月から「次世代TQMの構築」研究委員会(委員長:元当学会長の飯塚悦功東大教授)として走り出している。その基本コンセプトは、“日本企業のグローバル競争力向上に、より多く貢献できる「質をコア理念においた新しい科学的経営支援技術」の構築・体系化”である。

 現在、研究委員会のもとに、(1)経営質革新、(2)イノベーション・価値創造、(3)バリューチェーン質革新、の3つのWGが設定されている。(1)は次世代質マネジメントシステムのあり方、運動論としての次世代TQMの体系化を究めるものであり、飯塚東大教授がリーダーを務める。(2)は創造的な商品設計とそれを可能にするイノベーションのマネジメントのあり方を提言するものであり、長田東工大教授のリーダーのもとに、3つのSGが間もなく始動することになっている。そして(3)は、冒頭に述べた当学会の中期計画の柱である「Qの確保」の中の産学連携に基づく新しい品質確保の活動と一体化させた活動となっており、学会を代表して圓川がリーダーとなっている。
 計6回の準備会での企業トップのTQMならびに経営上の課題についてのヒアリングの過程で、丁度、学会で進めていた2つの産学連携のモデルプロジェクトとテーマが合致し、それならば別々にやるのではなく、「次世代TQMの構築」と一体化させることが望ましいということで、理事会での承認のもとに進めているものである。これが通常の学会の研究会と異なるところは、まず特定企業(あるいは企業グループ)が主体となるところである。その企業にとって喫緊の課題であり、かつ、将来日本企業に広く貢献できるとの認識のもとに特定の学のメンバーが参加することで、テーマの解決と公表できる形式での体系化を図ろうというものである。
昨年の総会でもその概要を紹介したA社、B社に加え、現在、C社プロジェクトが始動している。いずれも開発段階での自工程完結や一気通貫のプロセス管理といったキーワーズのもとに、SQCと品質工学を融合させた次世代「Qの確保」のテーマが推進されている。A社は自動車、B社はより短納期に晒されている事務機器やAV機器ということで、業種により異なるアプローチや手法活用の体系構築が目指されている。加えてC社は一品生産品であり、多目的最適化設計というOR的アプローチも組み込まれているのが特徴である。
 これに加えて、今、動き出そうとしているのがD社「製品寿命に関する次世代設計思想の確立」プロジェクトである。高品質、高信頼性への企業努力の裏返しとして、劣化の進んだ製品が長時間使用される、またその間当初想定されなかった使い方もされ事故につながり、メーカーの責任が問われるという、業界を横断した喫緊の課題でもある。メーカー側の設計思想のあり方(有限機能設計、適正な部品交換等々)に加えて、顧客側の意識改革(安全性に加えて、ライフサイクルコスト・環境負荷最小化)も必要であり、ひいてはわが国の固有の文化も配慮した政策やインスティテューションのあり方まで視野に入れた解決策を考えることも必要であろう。さらに、近年ますます重要性を増している「ソフトウエア・組み込みソフトの品質確保」に関してもプロジェクト化を検討中である。
 当学会の安全性・信頼性研究会でもこの課題が議論されている。これを拡大させ、また業界団体での取り組みと連携しつつ、学会としての考え方を取りまとめ世の中に発信していく使命があると考える。
 品質関連団体との連携も学会中期計画の柱の一つであり、学会として協力することでシナジー効果を引き出し、「次世代TQMの構築」が旧来のTQMをブレークスルーしたTQMルネッサンスとも言える活動になることを期待したい。


■私の提言
 TQMをシンプルに!もっと魅力的に!
  〜経営・管理・担当のどの仕事でもTQMの仕事が見える化し
やり方がレベルアップするには〜

 

サンデン株式会社 藤井 暢純

 毎日のように新聞紙上で品質問題が取り上げられる。今日本企業が置かれている経営諸課題に対してシンプルに問題解決できる具体的処方箋が見出せないジレンマに陥っている。更にTQMという経営ツールは刻々と変化する顧客ニーズに十分応えきれていないと思えるのは私だけだろうか。果たして経営者、管理者、担当者が各々大変魅力的と思うTQMとは何なのか?TQMとして当たり前の方針管理やPDCAサイクル、SQC等のことを如何に全員が理解し各々の仕事の中で自然体として実行できるか、その“姿”を考えてみた。
 それは“TQMの真髄をITシステムによってシンプルに見える化できないか”という“夢”である。現在各企業が積極的に進めているCAE、SQC、PLM等のIT化ではなく、“TQM総合的管理システムのための標準システムづくり”の意味である。既に先進企業では上記システムは構築済かも知れないが、ノウハウのオープン化も含めて私たちが取り組むべき課題として敢えて以下に提案させていただくことにした。
1.システム概要

TQMの推進に必要な基本アイテムを標準化した業務管理システムソフト。その中にはISO、TPM、SQC、QCサークル等の付随した活動もサブシステムとして備えたもの。
2.経営者からの魅力
方針管理、経営指標、部門計画策定、進捗管理等の見える化とともにTQM診断、品質レベル評価等が実行できるシステムツールであること。
3.管理者からの魅力
方針管理進捗、活動計画策定・進捗管理、人材育成・評価、問題解決支援・TQM教育等の見える化が出来、自身と部下のTQMレベルアップが確認できるもの。
4.担当者からの魅力
IT標準化で日常業務管理を見える化し、問題解決ツールが活用出来、自業務のTQMレベル自己診断機能、TQM基礎のeラーニング等の活用ができるもの。
 今年品質保証ハンドブックを新しく改訂出版する機会もあり、TQMをシンプルに見える化し、少なくなったデミング賞挑戦を日本企業があちこちでしたくなる、効果の出る標準化ができればと思う。


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