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JSQCニューズ 2004 3月 No.251

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■トピックス:http://www.jsqc.org へようこそ!
■私の提言:MTSの普及に学ぶこと
・PDF版はこちらをクリックしてください →news251.pdf

■ トピックス
  http://www.jsqc.org へようこそ!

日本品質管理学会 Web特別委員会 委員長 兼子 毅
日本品質管理学会では、会員サービスの一環としてWebによる情報提供を進めています。現在全会員に配布されている印刷物は、季刊の「品質」誌と月刊の「ニューズ」がありますが、入稿・印刷・郵送という手順を踏む必要があるため、情報提供はどうしても遅れがちになります。そこで、タイムリーな情報提供を目的として、行事案内を中心に月に数回ホームページを更新しています。

では、さっそく日本品質管理学会のホームページを見てみましょう。頻繁に更新されている行事案内を閲覧するには、トップページの「お知らせ」「行事案内」の中にある「行事一覧」のリンクをクリックしてください。本部、中部支部、関西支部が主催する事業所見学会や講演会、シンポジウム、研究発表会などの一覧を見ることができます。どれか行事名をクリックしてみましょう。それぞれの行事の詳細を見ることができます。テーマ、聴きどころ・見どころ、プログラム、開催日時、開催場所、参加費、申込方法などが記載されています。これらは「品質」誌や「ニューズ」でもお知らせしますが、行事詳細が決まり次第Webのページを随時更新しています。新しい行事については、メール・ニュースでもお知らせしています。このメール・ニュースは現在約2500名の会員・非会員に配信されています。「品質」誌や「ニューズ」などではタイミングを失するようなお知らせを随時流していますので、メール・アドレスをお持ちの会員は是非アドレスの登録をお願いします。また、このメール・ニュースは非会員の方もお申し込みいただけますので、身近に興味のある方がいらっしゃいましたら是非登録をお勧めください。メール・ニュースは無料で配信いたします。

Webで行事案内をご覧になった方は既にご存知かもしれませんが、研究発表会や講演会、シンポジウムなど、参加定員が多い行事ではホームページから申し込むことができるようになっています。是非ご利用ください。

今まで学会の行事に参加したことがない方は、まず、今まで開催された行事がどんな様子だったのかを見てみましょう。トップページに戻って、「記録・報告」の「ルポ・会員による活動報告」をクリックしてください。事業所見学会や講演会などのルポが掲載されています。いくつかクリックして読んでみてください。「行けばよかったなぁ」と思うような行事はありませんか? もしそのような感想をもたれたなら、ぜひ一度参加してみてください。よそでは聞けない話を聞け、普通は見せてもらえない現場を見ることができます。他社で同じような仕事をしている会員と出会うこともできます。大学の先生とのコンタクトができるかもしれません。参加費もリーズナブルだと思います。

それでは最後にもう一度トップページに戻ってください。「品質管理相談室」を見てみましょう。「コミュニケーション・メーリングリスト」の「品質管理相談室」をクリックしてください。使用上の注意書きが表示されます。一読されたあと、画面下のリンクをクリックしてください。既に何件かの質疑応答が行われていることがわかります。ちょっと悩んでいるのだけど誰に相談していいか分からない、くだらないことなのかもしれないけれど本を読んでも書かれていない、自分のところではこういうやり方をしているが問題ないのだろうか、など、品質管理に関わることなら何でも結構です。気軽に書き込んでください。きっと経験・知識豊富な方が回答を寄せてくれるはずです。もともと学会という組織は、同じような興味をもつ研究者や実務家のコミュニティーであり、情報交流や意見交流、技術開発、啓蒙普及、標準化の推進などを行うところです。ですからこれをお読みの会員の方も、質問だけでなく、回答も積極的にお寄せください。相互交流を図る場所として積極的にご利用ください。なお、ここでの回答は学会の「公式見解」ではありません、念のため。

このように、学会からの様々な情報がWebに掲載されています。是非「お気に入り」に登録し、時々覗いてみてください。新しい情報が掲載されているかもしれません。


■ 私の提言
  MTSの普及に学ぶこと

東京工業大学 大学院 教授 宮川 雅巳
品質工学信奉者の間で、MTS(マハラノビス・タグチ・システム)が急速に広まっている。機関誌「品質工学」に掲載された事例の数は本流のパラメータ設計を凌ぐ勢いである。MTSの手続きは、1950年代に既に存在した多変量管理図として具現化される多変量外れ値検出と基本的に等価である。このような古典的手法がなぜ今日これほど使われるのであろうか。

理由のひとつは、言うまでもなく提唱者田口氏のカリスマ性とネーミングの良さにある。二番目は宣教師の存在である。教祖の真意を汲み、見事なまでに教祖の言を伝道する。三番目には、既成の統計ソフトを使わずとも手軽にマハラノビス距離を計算できるようになった環境がある。

しかし、これだけの理由で、冷静沈着なはずのQCエンジニアがMTSに走るのだろうか。私は次の点が本質的だと考えている。実は、MTSには古典的多変量外れ値検出にプラスアルファした部分がある。それは、予め単位空間に属していない個体を用意し、その個体のマハラノビス距離が十分大きいかどうかで、マハラノビス距離を構成する多変量の合理性を評価する作業である。項目選択と呼ばれる変数選択もこれに基づいている。このような作業は少なくとも管理図にはなかった。もちろん、統計学者はこの作業を外れ値検出における常識的作業だと主張するかもしれない。しかし、それを手順として明示するか否かはユーザーにとっては大違いなのである。品質工学では、良い悪いはさておき、パラメータ設計でもMTSでも手順が事細かに規定され、そのうちのどれかでも省略しようものなら邪道とされる。

ところで、統計的方法、特に多変量解析は、最近でも徐々にではあるが発展し、効用が期待される手法も少なくない。しかし、これらのほとんどは現場でユーザーが使いやすい形に精錬されていない。学術的にはたいしたことがないと思われるような、ちょっとしたプラスアルファが、手法の使い勝手を著しく高める。私はこの典型的な例をMTSに見出したのである。SQCの研究者はこの点を強く認識すべきなのだろう。これこそがテクノメトリックスの最も重要な側面と考えている。


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