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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2001年2月 No.226

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■ トピックス「“台湾ハイテク企業に学ぶ”研修チーム報告」

■ 私の提言「品質に関連する“際”」

■ トピックス  “台湾ハイテク企業に学ぶ”研修チーム報告

東京理科大学 今井 雅浩
2000年10月29日から11月4日にかけて本学会主催“台湾ハイテク企業に学ぶ”研修チームが派遣され,半導体・ノート型パソコンメーカー等,台湾が世界に誇るハイテク企業6社を訪問した.経営者の講演を聴き,成功の秘訣について学ぶとともに,チームメンバー相互の意見交換を行い,これからの経営戦略ならびに品質戦略について研修することが目的であった.

本チームの大きな特徴は,研修先がアジアであるという点にある.1958年に第1回QCチームが渡米した.以後,欧米への研修チームは,多数派遣されてきた.アジアへは,調査団が派遣されたことはあったが,こちらが学ぶ研修目的でのチームは今回が初めてであると思う.

また,本チームに通訳が同行しなかったというのも大きな特徴の一つである.台湾ハイテク企業の隆盛を支える要因の一つとして,経営者・管理者の卓越した英語力が挙げられる.先方の説明を直接英語で聞き,また,質問・討論も英語で行うことにより,台湾企業の語学力を実感することも今回の研修の重要な目的の一つであった.

本チームは狩野紀昭学会長を団長に,社長・副社長・常務取締役等の経営者を含む企業関係者15名,大学関係者6名,事務局1名,計22名で構成された.団員の年齢層は20代から60代までの幅広い層から構成されていた.

10月30日は,新竹科学工業団地にあるUnited Microelectronics Corp. (UMC)を訪問した.UMCでは,1日かけて経営理念・経営方針・品質戦略等を聴いた.団員は旅の疲れも見せず講演に集中し,活発な質疑を行っていた.ホテルに戻っても議論は続き,団員が狩野団長の部屋に集まり2時間以上も議論を重ねた.散会したのは,11時近くである.

10月31日は,午前中に新竹科学工業団地のAcer Inc.とMediaTek Inc.を見学した.Acer社では,ノート型パソコン製造ラインを見学することができた.

午後はWorld Wiser Electronics Inc.(WWEI)を見学した.WWEIからホテルまでは移動に1時間ほど要したが,移動中も盛んに議論がなされた.無論,1時間の移動時間だけでは足らず,ホテル到着後も狩野団長の部屋に集まり,さらに2時間ほど議論するほどの過熱ぶりであった.

11月1日は,桃園にあるASUSTek Computer Inc.とRITEK Corp.を訪問した.当日は運悪く台湾一帯が台風の直撃を受けてしまった.豪雨のために,桃園一帯は停電したが,両社とも非常用電源を回すことにより,議論の場を確保してくれた.そのような状況下での議論が白熱しないわけはなく,予定を大幅に延長して議論が行われた.

夜は,場所を台北に移し,UMC GroupのChairperson,Bob Tsao氏の講演を聴き,その後会食をした.団員は会食の場を借りて意見交換を行い,終了時刻があっという間に訪れてしまった.

11月2日,3日はAsia Quality Symposium主催の工場見学および研究発表会に参加した.そして,11月4日に現地にて解散した.

今回訪問した台湾企業に対しては,どの企業もQCにひたむきに取り組んでいるという印象を持った.多くの工場に品質スローガンと品質関連のグラフが貼ってあり,従業員が品質を常時意識できる環境であると感じた.さらに,トップ・マネジメントが前面に立ってQCを推進している印象を受けた.

英語に関しては,使えて当たり前,使えないトップはいない,という状況であり,英語を半公用語としている感があった.本チームの特徴の一つとして“通訳無し”をあげたが,台湾ハイテク企業ではもはや“通訳無し”が当たり前のようである.

1980年に放送されたNBC放送「If Japan Can,Why Can’t We…?」が与えたインパクトは大きい.この報告が,・If Taiwan Can,Why Can’t We…?・というインパクトを得るきっかけになれば目的は達せられたものと考える.

本チームが台湾ハイテク企業から得たものは非常に多い.かの偉大な数学者フェルマーではないが,その全てを記すには与えられた紙面が少なすぎる.幸い,フェルマーの最終定理が360年後に証明されたのとは異なり,「品質」Vol.31,No.2に「報告」として,詳細が掲載される予定である.

■ 私の提言  品質に関連する“際”

東京理科大学工学部  助教授 山田 秀
偉大な発見は,学際的な領域で生まれることが多いと聞いた記憶があります.

これを少し拡大して考えると,活動,学問,組織等について何をやるべきかがはっきりしない場合には,「際(きわ)」を探すことがその解決の糸口になると思われます.活動,学問,組織等の“際”は,その中核をしっかり把握すること,そして現在の領域外のものを考慮することにより見出されると思われます.

この中核,領域外という見方を品質管理活動に照らし合わせると,定義は人により異なるものの「データ解析の強調」,「金銭面で見た効果」という言葉で特徴づけられるシックスシグマが思い出されます.なぜなら,品質管理活動の中核が事実(データ)から有意義な情報を得て品質保証に活用することであり,また,品質管理分野では領域外のように扱われてきたコストも強調しているからです.

日本品質管理学会の中核は,産学協同で品質に関する学理・技術を追求し実践することでしょう.ここで述べたいのは,シックスシグマ活動の合理性,非合理性ではなく,このような海外での動きに対する日本品質管理学会員の取り組み方です.すなわち,産学協同で質に関する学理・技術を追求し実践する立場から言えば,このような海外での活動に関する議論が日本品質管理学会員間であるべきでしょうが,Quality Progress誌における記事等,品質関連の海外雑誌に目すらを通さずに,「あんなの寄せ集め」,「今までと何が違うの」と評論している姿勢が意外に多いというのが現状に思えます.

品質管理に関連する“際”を探索するために,品質管理の中核を今一度見つめなおす活動を開始してはどうでしょうか?そして,地理的な面,対象の面で従来の品質管理の領域外に出た活動を進めてはどうでしょうか?そうすることにより,品質管理に関連する“際”が見え,次への方向が見えてくると思えます.日本品質管理学会がある種の“際”にいることは,入会後十数年が経過した私が今でも年齢的な意味で若手であることからも明らかです.しかし,私個人は悲観的になっていません.その理由は,人は“際”にいると予想外の力を発揮するからです.締切り際にこの原稿をまとめ,あらためて“際”の力を認識しました.


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